大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和26年(れ)561号 判決

本籍

兵庫県神崎郡甘地村谷一一八番地の三

住居

明石市上の丸三丁目三二六八番地

無職

坪田照一

明治二六年一一月一六日生

右に対する収賄被告事件について昭和二六年二月八日大阪高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人新井正雄同岡本薫一の上告趣意第一点について。

原審の確定した事実によれば、被告人は兵庫県経済部商工課勤務の物価係主任としての職務に関し、兵庫県繊維製品株式会社常務取締役兼事務部長であつた野間貞規から、昭和二一年八月初頃及び同年一二月二五日頃それぞれ現金五〇〇円宛の供与を受けたというのである。右判示日時当時における現金五〇〇円の供与が、一般社交的儀礼の範囲を逸脱すると認めらるべきものであり、原判決は論旨引用の判例と判旨を異にするものではない。論旨は理由なきものである。

同第二点について。

所論は事実審の裁量に属する事実認定を非難するに帰着し刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。また記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴施行法三条の二刑訴法四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 齋藤悠輔)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例